※「和包丁とユニバーサルエッジの違い」については以下も参考に。
和包丁とユニバーサルエッジの違い
片刃の和包丁と片刃の洋包丁の違い
「片刃の和包丁と片刃の洋包丁(ユニバーサルエッジ)はどう違うんですか?」という質問の答えです。
和包丁は「木柄の差し込み式の刀身・ハガネの刃」、ユニバーサルエッジは「口金付き・モリブデンバナジウムの刀身」という前提です。
以下、ユニバーサルエッジの特徴をメインに書いてみます。
和包丁は刀身が「厚く裏スキがある」片刃、ユニバーサルエッジは、刀身が「薄く裏スキがない」片刃です。
和包丁とユニバーサルエッジの刀身の断面イメージ図
洋包丁をベースにした薄い刀身は、和包丁の厚い刀身と比較して砥ぎやすく切れ味が良いので、洋包丁を完全片刃に砥ぎ直した時点で和包丁の全ての性能を超えることができます。
それが、ユニバーサルエッジです。
和包丁の刀身が厚く裏スキがある理由は、昔の量産タイプの包丁に使う金属では厚い刀身しか作れず、厚い刀身には砥ぎやすさのための裏スキが必要だったからです。
(※和包丁はなぜ片刃なのかを参考に)
現代、薄い刀身に耐えられる金属や、金属を薄く均等に伸ばす技術が開発されてからは、薄い刀身を作り、その刀身の峰から刃先にかけてテーパーをつけ、刃先に小さく刃をつけるだけで片刃の包丁が作れるようになりました。
ユニバーサルエッジの特徴が視覚的にわかりやすいように、図1にまとめてみました。
図1
ユニバーサルエッジは、同じ片刃の和包丁と比較して以下のような特徴があります。
・代表的な3種類の和包丁の特徴を1本に備えている
・和包丁に実現できなかった「砥ぎやすさ」と「薄切りの刃離れ」を同時に実現している
・高い安全性能を備えている
以下の図2は、ユニバーサルエッジの刃渡りと刃線の形が、和包丁の特徴を含んでいることを書いたものです。
刃渡り190㎜前後の片刃包丁の切れ味は、家庭用の「柳刃包丁」とほとんど同じ性能です。
刃元側半分の刃線はほぼ直線になっているので「薄刃包丁」の特徴、切っ先側半分は曲線になっているので「出刃包丁」の特徴を備えています。
家庭では150㎜の桂むきはほとんどしないので、90㎜前後の直線部分があれば充分ですし、大きな魚を丸ごとさばくことはないので、切っ先側の刀身の厚さとソリであればユニバーサルエッジで魚にも対応できます。
図2
図3は、砥ぎやすさについてです。
赤い部分を砥ぎます。
和包丁はユニバーサルエッジの10倍前後の研ぎ面積があり、表を砥いだ後は裏側をベタ砥ぎする必要がありますが、ユニバーサルエッジは少ない面積を砥ぎ、軽くバリを取って作業が終わります。
図3
図4は、キュウリの薄切りの刃離れをイメージしたものです。
赤と緑の間の水色の部分が水分です。
和包丁は切り刃が長いため水分が食材をくっつけてしまいます。
図4
図5は、ユニバーサルエッジが和包丁と比較してどの部分が優れているか、使う側、作る側、両方向から評価したものです。
図5
和包丁と比較すると、この図にあるすべての項目が解消、または改善されています。
以下簡単に説明します。
衛生→口金式・刀身とハンドルの付け根が傷まない
鉄のニオイ→鉄のニオイがない
重心位置→手前寄りで疲れにくい・包丁を落としにくい
切り込み抵抗→刃が薄いため切り込み抵抗が弱い・和包丁より扱いやすい
コスパ→世界でもトップレベル
刃離れ→既存の包丁ではなかった美しい薄切りの刃離れ
メンテナンス性→錆びにくい・汚れにくい・手間をかけず良いコンディションを保てる
重さ→軽いので疲れにくい
砥ぎやすさ→刃線を乱さず1分で砥げる・手や周囲が汚れない
※「ステンレスは砥ぎにくい」という意見もありますが、ダイヤモンド系の砥石を使えば簡単に研げます
製造コスト→刃付けだけで利き手を決められるので刀身は1種類作ればよい
管理コスト→ユーザーは軽く洗って放置するだけ・メーカーは在庫管理が楽になる
包丁の寿命→40年以上(4万食作って刃渡りが2㎜の減り)
汎用性→世界トップクラス(日本の包丁の数が半分になるようなイメージ)
資源節約→普及すれば世界中の包丁の数が減る。包丁作りや砥ぎ作業に必要なコストの節約になる。
◎まとめ
和包丁とユニバーサルエッジの違いは、車で例えると、50年前のファミリーカーと現代のファミリーカーの違いに似ています。
現代のファミリカーは、50年前のファミリーカーと比較して、車に求められる全ての性能で便利になっています。
ユニバーサルエッジも、和包丁と比較して、家庭レベルで求められる全ての性能で便利になっています。
以上、和包丁とユニバーサルエッジの違いでした。