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私が考案する「新型万能包丁」の性能

更新日:2023年3月12日


家庭用包丁に求められる性能を20項目に分け、私が考案した「新型万能包丁」と、従来の包丁を比較してみました。




包丁の性能は、「切れ味」で評価されることが多いですが、切れ味は「切り込み抵抗の大きさ」「切り心地」と言い換えることもでき、使う人の好みや切る食材によって評価が変わります。

また、近年の包丁はどれも新品状態の切れ味が良いので、単純な意味での「切れ味」については、ここではほとんど触れません。


家庭用包丁にとって大切なことは、新品状態の切れ味よりも、「切れ味を維持するためのコストがいかに低いか」ということです。

そして、同じ切れ味なら、主に「汎用性・メンテナンス性・コストパフォーマンス」の3つの要素の総合得点が高いほど、優れた包丁と言えます。


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以下、「新型万能包丁」を含む9種類の包丁の比較です。

家庭用として大切だと思われる20項目について、各10点満点で評価しました。

※現代日本の生活様式として、家庭で「鶏」や「魚」を丸ごと解体しないという前提です。

※あくまでも私個人の感想です。



<家庭用包丁に求められる性能 20項目>


1:汎用性の高さ

2:大きな食材の処理のしやすさ

3:細かい作業のしやすさ(切っ先の細さ)

4:薄切りや千切りのしやすさ

5:硬いものの切りやすさ(切り分け・乱切り)

6:野菜の刻み作業のしやすさ

7:手首の疲れにくさ(重心位置・重さ)

8:皮むきのしやすさ

9:刃離れの良さ

10:パンの切りやすさ

11:錆びにくさ

12:砥ぎやすさ

13:刃線の維持のしやすさ

14:切れ味の良さ

15:切れ味の維持のしやすさ

16:衛生の保ちやすさ

17:保管のしやすさ

18:価格

19:切れ味維持のコスパ

20:刃の減りにくさ(包丁の寿命)



比較する包丁は以下の9種類です。


・新型万能包丁(実用新案第3227805号の刃付けをした包丁 ステンレス)

・従来型万能包丁(牛刀 割り込み包丁)

・従来型万能包丁(三徳 割り込み包丁)

・プロ向けシェフナイフ (大型牛刀 割り込み包丁)

・スライサー・筋引き (割り込み包丁)

・菜切り包丁 (鋼 和包丁)

・薄刃包丁 (鋼 和包丁)

・柳刃包丁 (鋼 和包丁)

・出刃包丁 (鋼 和包丁)



以下、上記20項目の簡単な説明とグラフです。




1:汎用性の高さ


家庭では、野菜の刻み、肉の切り分け、皮むき(空間での作業)、ケーキカット、パン切り、場合によっては袋を破る作業など、多種多様な包丁の使い方があります。

一本でなんでもできることで、包丁の購入費用面はもちろん、保管場所、メンテナンスの手間、持ち替えの手間などが省けます。 汎用性の高さは、家庭用包丁に求められる最大の要素です。

※家庭用包丁に想定される様々な切り方を動画にしました(切り方メドレー









2:大きな食材の処理のしやすさ


スイカや白菜、束ねた菜っ葉類、食パン、ケーキ、ピザなどの「大きな食材」を切るためには、刃渡りが長いほど作業性が上がります。

また、スイング系の切り方がメインになるため、刃線に「そり」 がある包丁が有利です。硬いものを切ることも考慮すると、「薄い刀身」「両刃包丁」であることも大切です。








3:細かい作業のしやすさ(切っ先の細さ)


細かい作業が得意な包丁は「ペティナイフ」ですが、その代わりになる度合いです。 細かい作業には、繊細な動きが必要になるため、重心位置と包丁の軽さがポイントになります。また、食材が刀身の影に隠れないこと、食材の細かい部分に刃を入れることができること、食材に刃が入った後の刃の動きの自由度、食材との摩擦や接触面積が少ないことなどを考慮すると、切っ先が細い包丁が優れていると言えます。











4:薄切りや千切りのしやすさ


※薄切り=1㎜前後の厚さ

食材の刃離れと包丁の動きが安定する刃付けがポイントになります。

薄切りが途中で切れてしまうと、下の方が薄くなったり、次の一枚が厚くなったりしてしまい、 厚さが安定せず千切りの太さがバラバラになります。

また、薄く切った野菜が包丁にくっつくと、次の一枚を切るときに切りにくくなることもあります。両刃の包丁は、左側の刃の影響を受けるため、食材に薄く刃を乗せるほど右側に滑り落ちてしまいますが、片刃の包丁は、 食材に対して刃を薄く乗せることができ、まっすに切ることができるので有利です。









5:硬いものの切りやすさ(切り分け・乱切り)


硬いものの切りやすさは、「切り込み抵抗の少なさ」と表現することもできます。

刀身が薄く、刃付け角が鋭いほど(刀身全体のデザインにもよります)、少ない力で切ることができ、硬いものを切るのに適しています。

この作業は「薄刃・両刃」が優れています。









6:野菜の刻み作業のしやすさ


野菜の刻み作業には、大きく分けて2つの動きがありますが、素早く安定した作業をする場合、直線的な刃線の薄刃包丁の動きが適しています。 包丁を持ち上げ、トントントンとリズムよく切る方法です(スライド切り)。

切っ先をまな板から離さない洋食系の切り方は、長くて重い包丁に適した動き(スイング切り)なので、家庭用包丁には適しません。 刻み作業は「刃の乗り」の安定性も求められるため、「薄刃・片刃・直線的な刃線」が優れています。











7:手首の疲れにくさ(重心位置・重さ)


包丁の重さだけでなく、重心位置もポイントになります。 同じ重さなら、重心位置が手前にあるほど手首は疲れにくいです。また、刀身がある程度しなることも、手首が疲れにくいい理由のひとつです。










8:皮むきのしやすさ


皮むきは空間の作業になるので、包丁を持ち上げることになります。

また、刃付けや刃の砥ぎ角によって皮のむきやすさが変わります。 皮むきは、重心が手前で軽い包丁、そして刃先しか使わないので、砥ぎ角が狭い「片刃」の包丁が適しています。












9:刃離れの良さ


玉ねぎやキュウリの輪切りなど、切った食材が包丁にくっつくと作業性が落ちます。 「刃離れの良さ」は包丁づくりの大きなテーマでもあり、各メーカー「穴あき・ディンプル・テフロン系の被膜・リブ・波型刀身」などで対応していますが、私が考案した刃付け(実用新案登録第3227805号)はシンプルで効果的です。










10:パンの切りやすさ


焼きたてパンや表面が硬く乾いているパンには、専用のパン切り包丁が必要ですが、市販のパンのほとんどは家庭用包丁でも切ることができます。

基本的に刃渡りが長いほど、パンを切りやすいです。










11:錆びにくさ


錆びにくいほど切れ味が維持しやすく包丁の寿命も長くなり、食材に鉄のニオイも移りにくくなります。 もちろん、メンテナンスも楽です。 「ステンレス」が錆びにくい金属ですが、その中でも錆びやすいものとそうでないものがあります。









12:砥ぎやすさ


砥ぎやすさは、包丁にとってとても大切な要素です。 いくら新品状態の切れ味が良くても、それを維持できなければ意味がないからです。

永切れを目的に、次々と硬いステンレスが開発されていますが、硬いほど刃欠けする度合が大きく、結局砥ぐ作業そのものはなくなりません。

私が考案した包丁は、独自の刃付けと刀身の強度配分によって、だれでも簡単に砥ぐことができるようになっています。

新しい砥ぎ方の(シームレス砥ぎ) の動画です。


※新型の砥石は実用新案申請中、新型簡易シャープナーは申請準備中です。どちらも従来型よりも格段に便利になりました。










13:刃線の維持のしやすさ


どの包丁でも、新品状態の「刃線」を維持するのが難しい場合がほとんどです。 特に柳刃と出刃は、プロが研いでも刃線が乱れやすい包丁です。

また、簡易シャープナーや研ぎ棒では、包丁のアゴ付近の刃線がへこんでしまい、食材の切り離れが悪くなるため、薄葉包丁に代表される刻みの動作(スライド切り)ができなくなってしまいます。

新型万能包丁は、誰が砥いでも理想の「刃線」を維持しやすいように刀身の強度を工夫しています


下記は刃線の維持のしやすさのブログです。








14:切れ味の良さ


「切れ味」には、人間の感覚でしかわからない「切り心地」がありますが、ここでは単純に「金属の硬さ」と「砥ぎ角の鋭さ」「刀身の形と厚さ」で切れ味を考えます。

切れ味の持続性を無視した場合、刀身が薄く、刃先の砥ぎ角が鋭いほど切れ味は良い傾向になります。

両刃と片刃では、砥ぎ角が鋭い傾向になる「片刃」の方が切れ味は良いですが、硬いものを切るときは、「切り込み抵抗」が、人間が感じる「切り心地」に影響します。


肉などの柔らかいものを切るときは、砥ぎ角が狭い片刃包丁、硬い野菜などを切るときは、たとえ砥ぎ角が片刃より鈍角でも、刀身そのものが薄い両刃包丁が優れています。











15:切れ味の維持のしやすさ


切れ味の維持のしやすさは、「砥ぎやすさ」「さびにくさ」「刃線の維持のしやすさ」などの総合的なものです。 誰でも簡単に砥ぐことができ、錆びにくく、刃線を維持しやすい包丁が、切れ味の維持がしやすい包丁です。

私が考案した刃付けの包丁は、モリブデンバナジウムの錆びにくさに加え、金属の靭性を利用し、切れ味を維持しやすくしています











16:衛生の保ちやすさ


「口金付きのステンレス包丁」と、「木柄(差し込み式)のハガネ包丁」を比べた場合、前者の方がはるかに衛生的です。 後者は刃の差し込み口に汚れが溜まり、最悪の場合その部分が腐ってしまいます。木柄は和包丁の象徴でしたが、最近はオールステンレスや口金式の和包丁も市販されています。










17:保管のしやすさ


洗ってそのまま放置できる包丁が、保管性が良いと言えます。

さびにくい部類のステンレスが優れています。












18:価格


同じ性能なら、安価な包丁が優れています。

どの種類の家庭用包丁も、2千円から2万円の価格帯で揃っていますが、ステンレスは安価な傾向があり、ハガネは高価な傾向があるという前提で評価しています。












19:切れ味維持のコスパ


同じ切れ味なら、それを維持するためのコストが低い包丁ほど家庭用として優れています。












20:刃の減りにくさ(包丁の寿命)


同じ性能なら、減りにくい包丁が優れていると言えます。

「減りにくさ」は、「硬さ」だけでは表現できません。 硬い包丁は欠けやすいため、欠けた分を砥ぐと大幅に減ることになるからです。 ハガネは硬い金属ですが、長く使うとひと回り小さくなります。

それは、刃欠けが頻繁に起こるため、その都度、大きく砥ぐことになるからです。







以上、20項目の比較でした。

まとめとして、20項目の総合得点をグラフにします。



●総合得点

・新型万能包丁 176

・従来型万能包丁(牛刀) 146

・従来型万能包丁(三徳) 142

・プロ向けシェフナイフ 136

・スライサー・筋引き 131

・菜切り包丁 106

・薄刃 114

・柳刃  97

・出刃 75





以下は、比較した9種類の包丁ごとに、レーダーグラフにしたものです。

面積が大きいほど家庭用として優れた包丁と言えます。





上図、各包丁の拡大です





































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