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「刃離れ(ハバナレ)」と「切り離れ(キリバナレ)」の違い

更新日:1月22日



「刃離れと切り離れの違いはなんですか?」と質問をいただきました。


この2つの言葉については、包丁業界で明確な定義がないので、「私が生徒さんに教えていること」を書きます。





◎刃離れとは


「刃離れ」とは、切った食材が包丁本体にくっついているかどうかです。

食材は切れていますが、切れた食材が包丁にくっついていると「刃離れが悪い」と表現します。

きゅうりの輪切りやネギの小口切りでよく見られる現象です。



写真は刃離れが悪い状態(包丁本体にきゅうりがくっついています)






◎切り離れとは


「切り離れ」とは、切った食材同士がくっついているかどうかです。

食材そのものが切り離れていない状態です。

これもきゅうりの輪切りやネギの小口切りでよく見られる現象です。



写真は切り離れが悪い状態(食材同士がくっついています)






◎刃離れが悪くなる理由


主な理由は「毛細管現象」です。

刀身と食材の間に水分があると水が接着剤のような働きをして刃離れが悪くなります。

パンが包丁にくっつかないのは、水分が少ないからです。


下図は食材と包丁の間にある水分(青色)のイメージ図です。


こちらの記事も参考になるかもしれません。







◎切り離れが悪くなる理由


主な理由は「刃線のへこみ」です。

簡易シャープナーや砥ぎ棒を使うと刃線がへこみやすくなります。

切り離れが悪い包丁を使っていると、スライド切りが使えなくなり、作業効率や断面のツヤが低下します。

※普段とは違う包丁に持ち替えたときや、まな板のへこみが原因で切り離れが悪くなることもあります




下図は、アゴ付近の刃線がへこんでいる包丁のイメージです。




切り離れが悪い理由について、詳しくはコチラ





◎言葉の定義の必要性


たとえば、スライド切りでリズムよくネギの小口切りをしたとき、切ったネギが包丁にくっつかないので「刃離れが良い」と判断すると、実際は「切り離れが悪いだけだった(全部つながっていた)」ということもあります。


この場合、「切り離れが悪いから刃離れが良いと判断してしまった」ということになりますが、2つの言葉が混同していると説明しにくいため、私の包丁レッスンでは、「刃離れ」と「切り離れ」は区別して使っています。






◎クイズ


以下は「刃離れ」・「切り離れ」のどちらを比較した動画でしょう?

これがわかれば、2つの言葉の区別ができるようになったと言えます。




※クイズの正解:刃離れ



以上、「刃離れ・切り離れ」の違いについてでした。

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