◎1億回再生
数か月前にインスタグラムに投稿したリール動画の再生数が、今日(9月26日)「1億回」を超えました。
「いいね」も約195万、コメントは私の返信も含め1万6千以上になりました。
紫玉ねぎのみじん切り動画(PROCEEDで紫玉ねぎのみじん切り)
※この動画はTikTokでも約900万回再生されています
「1億」と表示されました (インスタグラム スクリーンショット)
これまでの区切りになる出来事なので、今回は以下の内容で、1億回再生されて考えたことを書いてみたいと思います。
◎初の1億回
◎「最後まで見たい」というコメント
◎再生数の理由は「涙」の連鎖?
◎涙の理由
◎日本語のコメントは涙関連が少ない?
◎ユニバーサルエッジを使いたい人は多い
◎すぐに対応できないもどかしさ
◎質問の回答
◎年間1000丁
◎イメージトレーニング
◎初の1億回
投稿した動画の再生数が1億回を超えたのは初めてです。
投稿直後から再生数は伸び続けていたのですが、9月初旬になると、イランのテヘランを中心としたペルシャ語圏で急に再生数が伸び、2000万回以上閲覧されました。
しばらくペルシャ語のコメントが続きましたが、やがてヒンディー語や英語のコメントが見られるようになり、インドを中心に、アメリカ、ヨーロッパなどで閲覧され、多い日は1日500万回以上ということもありました。
翻訳機を使うと、言語だけでも20以上あることがわかり、多数の国で閲覧された様子がうかがえました。
◎「最後まで見たい」というコメント
「紫玉ねぎのみじん切りを最後まで見たい」というコメントもありました。
「玉ねぎのみじん切り」で検索すると、最後の「根の部分の処理」を省略している動画が多く、私も「一番見たい部分が見られなくて残念」と思うことがあります。
以下に全行程の動画を貼りますので興味がある方は参考にしてください。
★紫玉ねぎのみじん切り全行程
※固定したカメラで2つの方向から撮影したものです
包丁に玉ねぎがほとんどくっつくことなく、まとまったまま切り終わります。
空気に触れる断面の表面積が少ないので、涙も出にくいです。
※切った食材が包丁にくっつきにくい理由は「ユニバーサルエッジ(実用新案第3227805号の刃付け)」で切っているからです
◎再生数の理由は「涙」の連鎖?
動画にはたくさんのコメントが寄せられました。
世界中の人の目に留まり再生数が伸びた理由を考えてみました。
・言葉や字幕がない(国籍がない)から見やすい
・玉ねぎは誰もが知っている野菜だから興味がある
・紫玉ねぎの映像が美しいから何度も見ていられる
・音と映像がリアルで他人にオススメしたくなる
・見たことがない刃離れに感動した
・一人で何度も繰り返し見る
などがあると思います。
多くのコメントをいただきましたが、ひとつだけ、ニンジンの薄切り動画の時にいただいたものとは大きく違う特徴のコメントがありました。
しかも、そのコメントが一番多かったと思います。
それは、「涙」です。
涙に関する内容がとても多く寄せられました。
翻訳機でコメントを読んでいると、「涙が出る・目が痛い」など、身体的変化を書いたものが多く、玉ねぎの動画に対して身体的な条件反射のある人が一定数いることがわかりました。
※「玉ねぎアレルギー」の人の条件反射的な反応もあると思います
玉ねぎは人間にとってとても身近な野菜のひとつです。
以前、お客様を対象に行った「100人アンケート」では、8割以上の日本人が日常的に切ることがわかりました。
また、「玉ねぎのみじん切り」は、その他「薄切り・くし形切り・輪切り」よりも頻度が多く、データ的には日本人の半数以上が経験している切り方です。
そして、玉ねぎのみじん切りには「涙」がつきもので、私もレストランで修行をする前は涙を流した記憶があります。
おそらく、世界では数十億人が「玉ねぎで涙が出る」という経験をしています。
そして、その中の一定の割合の人が、動画を見ると条件反射的に涙が出ると思われ、その体験の共有として動画が拡散されたのかもしれません。
動画を見てなぜか涙が出る
↓
涙が出るのは自分だけなのかと疑問が浮かぶ
↓
「これを見て涙が出ない?」と拡散する
↓
動画を見て涙が出た人がさらに拡散する
↓
再生数が増える
このような「体験の共有」の連鎖的な循環が、再生数が増えた理由なのかもしれません。
◎涙の理由
涙が出る理由は「切れ味が悪い・作業時間が長い・刃離れが悪い・玉ねぎとの距離が近い・換気が悪い」などがあります(人の感受性や玉ねぎの品種によるところもあります)。
●「切れ味」が悪いと玉ねぎの細胞をつぶすことになるため、催涙成分(※)がたくさん揮発します。
※催涙成分は「硫化アリル」と説明されることが多いですが、2002年から「プロパンチアールオキシドが原因」という説が一般的になっているかもしれません。過去の「硫化アリル」という表記はそのままに、これ以降は「催涙成分」と記載します。
●「作業時間」が長いと、鼻や目の粘膜が催涙成分に触れている時間が長くなります。
「作業に慣れていない・切り方を間違えている・手間取る・二度打ちをする」などの理由で作業時間が長くなります。
●「刃離れ」が悪い包丁だと玉ねぎがまな板の上に広がってしまい、やはり催涙成分が揮発しやすい条件になります。
●身長が低いほど「玉ねぎとの距離」が近く、子どものころから料理をしている人ほど玉ねぎと涙が直結しているかもしれません。
●「換気」については、換気の効果が弱い条件だと涙が出やすいと思います。
※涙に縁がない包丁を作ることは、SDGs12の「つくる責任」も果たすことになります
◎日本語のコメントは涙関連が少ない?
日本語のコメントには「涙」に関する記述の割合が少なく感じたのですが、その理由は、日本の包丁の平均的な切れ味が良いからかもしれません。
日本の包丁の切れ味が良い理由は、和包丁時代の「砥石文化」が残っているからだと考えられます。
「砥石を使って砥ぐ・スライド切りを使う・柔らかいまな板を使う」という組み合わせで鋭い切れ味を維持してきた文化が、「玉ねぎを切っても海外の包丁より涙が出にくい」という状況を作り出しているのだと思います。
一方、海外の包丁の切れ味が悪い主な理由は、包丁を繊細に砥がないから、または砥いだとしても刃付けが鋭くないから、そして、切れ味と間接的に関係している「切り方」が違うからです。
海外では簡易シャープナーや砥ぎ棒を使うことが多いことと、硬いまな板を使う傾向があることで、切れ味がすぐに落ちてしまいます。
そして「切り方」については、日本では切れ味の良い「スライド切り」を使うことが多いですが、海外(洋食)ではスイング切りを使うことが多いため、細胞が潰れやすくなります。
砥石を使わない文化圏の方々は、幼いころから「玉ねぎ=涙を流す」という環境で育ったため、条件反射的に涙が出やすい人が多いのかと想像しました。
◎ユニバーサルエッジを使いたい人は多い
動画には「涙」に関するコメントが多いですが、もちろん「すばらしい!」「満足した」「癒される」「芸術ですね」などの感動の声もたくさんいただいています。
また、「この包丁欲しい!」「包丁の名前は?」「メーカーは?」「どこで買えるの?」などの問い合わせもあります。
さらには、刃物に詳しい方、刃物店と思われる人などからのDMや電話もあります。
ユニバーサルエッジに興味があり、使いたいと思っている人が世界中にいることがわかりました。
日本では1千万世帯の役に立つと試算したことがあるのですが、フォローやコメントが多かったインド・アメリカ・イランなどではさらにニーズがあると感じました。
◎すぐに対応できないもどかしさ
9月半ばは、まさに「世界中から問い合わせが殺到」という状態になり、海外からのコメントには「❤」マークしか返すことができませんでした。
多くの方々に興味を持っていただいているのですが、すぐに対応できないもどかしさを感じています。
包丁の輸出については、以前ご縁をいただいた「JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)」の方々に相談しながら対応を考えていきたいと思っています。
◎質問の回答
以下、複数いただいた質問の回答です。
海外の方々はこのブログを見ないと思いますが、日本からも質問があったので参考までに回答します。
回答:
・包丁の名前は?→「PROCEED(プロシード)」です。
「PROCEED」は、ユニバーサルエッジという新カテゴリーの家庭用万能包丁です。
・販売しているのは?→「株式会社Yui」です。
・現在買える場所は?→弊社のオンラインショップです(現在予約販売中です)。
生産能力と販売網があればすぐにみなさまにお届けできるのですが、まだ弊社の力では、数千、数万丁の生産と販売網を作ることができません。
輸出についても少しずつ実現できるよう手配しますので、もうしばらくお待ちください。
・なぜ包丁にくっつかないの?
実用新案取得の特殊な条件を満たした刃付けだからです。
できるだけ毛細管現象を起こさせない刃付けになっています。
・ユニバーサルエッジってなに?
「薄切りの刃離れ」「砥ぎやすさ」「安全性」「汎用性」などに優れた新しい家庭用万能包丁です。
刃物業界の長年のテーマ「薄切りの刃離れ」については、これまでとは違うアプローチで実現させています。
上記総合性能を備えた包丁は「世界初」です。
SDGs12の「つくる責任」の達成率もとても高く、2024年3月には、刃物の生産で有名な新潟県の「ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクール2024」において「新潟県知事賞」を受賞しました。
※新潟県知事にお会いした当日の様子はこちら
実物を使っている様子は以下の動画がわかりやすいと思います。
※What is Universal Edge?
◎年間1000丁
ユニバーサルエッジは今年の年末から年間1000丁ペースに増産することはできそうなのですが、弊社が規定する最終仕上げができる担当者が2人しかいないため、さらに大量の生産には時間がかかりそうです。
※仕上げてしまえば、新品時の性能を維持するのはとても簡単な包丁です
包丁の品質の維持をしつつ増産するにはどうすればよいのか、人材育成なども含め、考える必要がありそうです。
◎イメージトレーニング
いただいたコメントを総合的に見ると、結局のところ「涙を出さないように玉ねぎを切りたい」ということだと思います。
私の経験上、玉ねぎのみじん切りで涙を出さないためには、ユニバーサルエッジを使い、動画のように切るのが一番現実的です。
これができれば、涙を流す人が大幅に減ることは間違いないと思います。
今の弊社には、世界中の方にユニバーサルエッジをお届けする力はありませんが、いつかみんさんがユニバーサルエッジを手にするときのために、イメージトレーニングはすぐにできます。
興味がある方は以下を読んで練習してみてください。
既存の包丁では玉ねぎがくっつくと思いますが、練習にはなります。
★玉ねぎのみじん切りの解説
※固定したカメラで仕込みの風景を撮影したものです
余談:言語の多彩さと世界の広さ
インスタグラムのコメント欄には以下のような各国の言語が並んでいました。
スペイン語
アラビア語
ルーマニア語
英語
トルコ語
マレー語
インドネシア語
ポルトガル語
ペルシャ語
ヒンディー語
タガログ語
ロシア語
韓国語
言語の多彩さと世界の広さの再認識はもちろん、玉ねぎのみじん切りの動画で世界中の人たちが感動してくれたことに感動しました。
以上、紫玉ねぎのみじん切りの動画が1億回再生された理由についての考察でした。
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