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ペティナイフと万能包丁の違い

更新日:3月3日


今回はペティナイフと万能包丁の違いについて書きます。

※一般的なペティナイフと新世代小型包丁「PROCEED bit」の違いについてはコチラ



結論から書くと、ペティナイフと万能包丁の最大の違いは「ハンドルの太さ」です。

以下、それをふまえて読んでみてください。

本文では、ペティナイフを「ペティ」、三徳や牛刀を「万能包丁」と表記します。

また、「万能包丁」の定義は、「刃渡り150㎜~190㎜程度の三徳・牛刀」とします。





ペティとは


私が定義するペティとは、細身で軽い包丁です。

一般的には刃渡り120㎜前後の小型の包丁ですが、長いものでは刃渡り180㎜のペティもあります(ペティ180㎜で検索してみてください)。

メーカーや人によって呼び方が違うことがあり、厳密な定義はありません。

万能包丁と比較して「細くて軽い包丁」をペティと呼ぶことが多いと思います。



比較例:上が万能包丁の大きさ(刃渡り180㎜)、下がペティの大きさ(刃渡り150㎜)






◎ペティの用途


主に、まな板を使わない「皮むき」などの空間作業や、刀身の薄さや刃渡りの短さを利用した細かい作業、飾り切りなどに使います。


また、洋食の世界では、玉ねぎのみじん切りの最初の行程でペティを使う人もいます。


切っ先が他の物に当たりにくく、圧迫感が少ないため、食卓の上での作業にも使えます。


まな板の上での作業では、


1:「スライド切りがしにくい(刃幅が足りず指がまな板に当たる)」


2:「スイング切りの効率が悪い(刃渡りが短い)」


などの理由から、ハンドルを上げて使う「切っ先の引き切り」がメインになるため、大きなものや同じ食材を大量に調理する場面には不向きです。





◎ペティと万能包丁の違い


ペティと万能包丁を比べたときに、「刃渡りの違い」がわかりやすいですが、実際は刃渡り180㎜の長いペティや、刃渡り150㎜の短い万能包丁もあり、一番の違いとは言えません。


ペティと万能包丁の一番の違いは、ハンドルと刃幅(身幅)の太さです。

ペティの方がハンドルが細く、刃幅も狭くできています。

あえてハンドルの持ち方で区別すれば、ペティは「つまんで使う包丁・軽く握って使う包丁」、万能包丁は「しっかり握って使う包丁」と言えます。


次に違うのが刃渡り、そして母材の厚さ、包丁の重さなどです。

ペティの方が刃渡りが短く、母材が薄い傾向があり、万能包丁より軽いです。



以下、ペティと万能包丁の違いを、それぞれの項目ごとに説明します。


★ハンドルの太さ

★刃幅の太さ

★刃渡りの長さ

★刀身の厚さ

★包丁の重さ




★ハンドルの太さ

ペティは万能包丁と比較してハンドルが細く作られています。

ハンドルが細いと包丁そのものが軽くなり、軽い包丁ほど、皮むきなど空間での作業で腕の負担が少なくなります。

ハンドルを細くすることで、小さな刀身との重心バランスを整える役割もあります。

逆に、ハンドルが細いと力が入れにくく、峰の線を中心にした回転方向の力のコントロールが難しくなるため、力を込めて食材を切るための包丁ではないとわかります。


また、ハンドルの太さと刃渡りの長さが比例するわけではありません。

刃渡り150㎜の万能包丁は刃渡り180㎜のペティと比較してハンドルは太いです。

ハンドルが細いことがペティの最大の特徴であり、「軽作業用だから細い」と理解できればよいと思います。


まとめ:

ハンドルが細いと回転方向のコントロールが難しくなり、力を入れた作業ができないため、ペティは軽作業用の包丁と言える。




★刃幅(身幅)の太さ

ペティの刃幅は万能包丁と比較して細くなっています。

具体的には30㎜前後です(万能包丁は45㎜前後)。

刃幅が狭いと、食材との摩擦抵抗が減り、軽快に切ることができます。


摩擦の影響を受けやすい作業は、両側から摩擦を受ける場合がある「皮むき」です。

刀身の断面の形がコンベックスかフラットかの違いで摩擦抵抗も変わりますが(コンベックスの方が抵抗が少ない)、刀身の断面が同じ形状なら刃幅が狭いほど軽快に剥ける傾向があります。


また、刃幅が狭いと、食材に切り込んだ後の包丁の動きの自由度が上がり、刃を進める向きをコントロールしやすくなります。

具体的には、柑橘類やメロン、スイカなど、円の一部に沿って身をくりぬくような作業で便利です。

極端に言えば、刃幅3㎜の包丁(糸ノコのような細さ)と、刃幅100㎜の包丁(中華包丁のような広い幅)では、食材に切り込んだ後の進行方向の自由度が違う、ということです。


※万能包丁でも、牛刀の場合は刃幅の狭い切っ先側を使って切ることで、切り込んだ後の自由度をある程度カバーできます。

一方で、刃幅が狭いと、まな板に指があたってしまうため、まな板の上ではハンドルを持ち上げた作業が主になります。

効率が良く安全な「スライド切り」がまな板の上でできなくなることがデメリットと言えます。


切り方については以下の動画を参考にしてください。



動画」万能包丁による4種類の切り方

(スライド切りを含めて4種類の切り方を比較した動画です)




まとめ:

刃幅が狭いと食材の中での自由度が上がるが、まな板の上でスライド切りができなくなり作業効率が落ちる。



★刃渡りの長さ

基本的にペティの方が万能包丁より刃渡りが短い傾向です。

刃渡りが短いことの利点は以下です。


・奥行きのない場所でも気軽に使える

・切っ先が人や物に当たりにくい

・指先の感覚と一体化させやすい

・刃先をコントロールしやすい

・食卓に置いても圧迫感が少ない

※刃渡りが長いことの利点もあります

プロの包丁が長い理由はこちら



まとめ:

刃渡りが短いと利点もあるが大きなものが切りにくいデメリットもある。




★刀身の厚さ(母材の厚さ)


包丁は刀身が薄いほど、食材に対しての「切り込み」が軽くなります。

強度バランスの関係で、刃渡りが短いほど刀身を薄くすることができ、その結果、万能包丁と比較してペティの方が軽快な切り心地になります。

私の方法とは違うのですが、洋食の職人が、玉ねぎのみじん切りの最初の行程で、軽快に切れ目を入れていく作業は、ペティの薄い刀身を活かした作業のひとつです。


※万能包丁でも、切っ先側の薄い部分で切ることで、切り込み抵抗をある程度軽減できます。

まとめ:

刀身が薄いと切れ味が軽快になる。





★包丁の重さ


ペティの方が万能包丁より軽く作られています。

例えば刃渡り150㎜のペティと150㎜の三徳なら、もちろんペティの方が軽いです。

そして、刃渡り180㎜のペティと150㎜の三徳を比較しても、ペティの方が軽いです。

軽い理由は、ハンドルと刀身が細いことです。

軽いほど腕の負担が減り、空間での作業がしやすくなります。

ペティを持つなら100g以下の重さが理想だと思います。


まとめ:

軽い包丁は空間作業で疲れにくい。





◎私がペティをオススメするなら


1:

「キッチンが狭い・すでに切られた食材を買う・少ししか作らない・本格的な料理はしない・大量調理の効率は求めない」という人にオススメ。



2:

野菜の千切りをしない人にオススメ。

ペティは「スライド切り」が苦手な包丁なので、スライド切りがポイントになる「野菜の千切り」は万能包丁に比べると不向きです。

野菜の千切りをする頻度が少ない人にオススメです。



3:

ご家族みなさんで料理をすることがあるご家庭にオススメ。

ホームパーティーの準備など、ご夫婦やお友達同士で同時にキッチンに立つ場合や、小さなお子様用の包丁としてもオススメです。



4:

かわいいから欲しいと思う人にオススメ。

包丁は性能も大切ですが、デザインも大切です。

「かわいいから欲しい」という理由の人にもオススメです。



5:

お揃いの道具が欲しい人にもオススメ。

PROCEED bitはプロシードと同じデザインなので、2本揃うと統一感があります。

すでにPROCEEDをお持ちの方が、軽作業用の包丁としてペティを購入するのもオススメです。





余談:


私は普段、ペティを使わずメインの万能包丁「PROCEED」だけで仕事をしています。


ペティを使わない理由は、主な仕事がレストランの業務なので、切る量が多いことや、頻繁に「千切り(ペティでは難しい)」をすること、そして飾り切りをしないことなどが挙げられます。

メインの包丁がそれほど重くないこともあり「皮むき」もできてしまいます。

また、忙しい現場で仕事をしていると、複数の人がいて包丁の持ち替えが危険だったり面倒だったりする場面があります。



ちなみに私が仕事をしているレストランの厨房には、もともとペティが置いてあります。

レストランのオーナー(マスターの奥様)が、奥行きが狭い作業台で使うためです。

ドライフルーツを切る・果物の皮を剥く・栗の皮を剥く・お子さんのお弁当用に小さなおかずを切るなどの作業のときにペティを使っています。



包丁は、作業内容などを考え、必要に応じて揃えることが大切です。

自分の作業内容に合う包丁を選ぶのも、包丁選びの楽しみのひとつだと思います。



以上、ペティナイフと万能包丁の違いについてでした。


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