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片刃はなぜ薄切りと皮むきが得意なのか 

更新日:2024年12月21日



今回は、片刃はなぜ薄切りと皮むきが得意なのか説明したいと思います。

※主にユニバーサルエッジの片刃の話なのですが、和包丁の片刃についても触れます



ユニバーサルエッジは、洋包丁の薄い刀身に、「片刃」を取り入れた新カテゴリーの家庭用万能包丁です。

刀身は「洋包丁」がベースなので、「裏スキのない薄い刀身の片刃包丁」です。

和包丁も「片刃」ですが、和包丁は「裏スキのある厚い刀身の片刃包丁」です。



下図1と2でイメージが伝わればと思います。


【図1 刀身の断面形状のイメージ】

















【図2 カテゴリーのイメージ】




◎片刃が薄切りを得意とする理由


はじめに大根の薄切りの動画をご覧ください。

上が両刃、下が片刃で切っています。

動画では、包丁の傾きがわかりやすくなる両刃包丁を使っているため、傾きがはっきりわかると思います。


【両刃で大根の薄切り】

包丁を傾けて切っている様子がよくわかると思います。



【片刃(ユニバーサルエッジ)で大根の薄切り】

安定して切ることができます。




◎解説


・両刃の薄切り

「両刃」で野菜の薄切りをする場合、刀身を少し右に傾けて切る必要があるため、食材に触れるのは刃先部分だけになり、刀身のロール方向の動きが不安定になります。

不安定になるので薄切りの見た目がバラバラになりやすく作業効率も落ちます。

※そのため薄切りをあきらめるか、スライサーを使うことになります

※刃先厚が厚く砥ぎ角が鈍角な両刃包丁ほど右に傾けて切ることになります



・片刃の薄切り

片刃の包丁は刀身の左側が平ら(刃が付いていない)なので、左側面が食材に沿って真下に切る役割を果たし、包丁のロール方向の動きが安定します。

リズムに乗って切り続けることができ、薄切りや千切りを作ることが楽しくなります。



下図は、両刃と片刃で切る薄切りのイメージです。

切る本人から見た切れ方です。



参考までに、以下はユニバーサルエッジで切る紫玉ねぎと大根の薄切り動画です。

包丁の左側面の作用で半ば自動的に切ってくれる「安定感」が片刃の特徴です。

そして動画の「刃離れ効果」はユニバーサルエッジだけの特徴です。


【紫玉ねぎの薄切り】



【大根の薄切り(すぐに千切りの作業ができます)】



誤解があるといけないので、和包丁とユニバーサルエッジの片刃の違いについて書きます。


野菜を切るための和包丁「薄刃包丁」は片刃ですが、薄切りのときの刃離れ効果はありません。

切った野菜が刀身の右側にくっついてもそのまま切り続けるか、一枚一枚を指で剥がす必要があり、ユニバーサルエッジと比較すると薄切りが面倒です。


大根などの千切りを作るとき、薄刃包丁で「桂むき」をするのは、そんな面倒を避けたいという事情もあると思います(桂むきなら切った食材が刀身にくっつかず、並べ直しも不要です)。


ユニバーサルエッジは薄切りと皮むきが得意なだけでなく、薄切りの刃離れ効果もあり、「千切りを作ること」が目的なら、「桂むき」をするまでもなく美しい千切りが作れます。

大根の千切りについては以下を参考に




薄切り性能のまとめ:


両刃(従来型万能包丁)

→薄切りが不安定(薄さが不安定で切った食材が貼り付く)


片刃(和包丁)

→薄切りが安定(薄さが安定しているが切った食材は貼り付く)


ユニバーサルエッジ(次世代型万能包丁)

→薄切りが安定+刃離れが安定(食材の薄さが安定しかつ貼り付かない)





◎片刃が皮むきを得意とする理由


片刃の包丁が皮むきを得意とする理由は2つあります。


ひとつは「刃先の砥ぎ角」です。

片刃は硬いものの切り分けは不得意なのですが、上で書いたように、「薄切り」は得意です。

そして、皮むきも薄切りの一種です。

片刃は両刃と比較して刃先の研ぎ角が鋭角なので、刃の鋭さによる切れ味の良さがあり、両刃包丁より皮むき(薄切り)が得意な傾向があります。


ふたつめは、皮をむいているときの「刀身の角度」です。

以下の図をご覧ください。



これは両刃で皮をむくイメージです。

包丁は青い矢印の中間の赤い矢印の方に進みます。



これは片刃で皮をむくイメージです。

刃は赤い矢印のように進むもうとするので・・・



皮をむくためにはこのように峰側を少し持ち上げる必要があります。



両刃より峰を持ち上げて皮をむくので、下図のような条件の皮むきは、ハンドルを握る右手が食材に当たりにくくなります。



【リンゴをくし形切りにしたあとの皮むきのイメージ図】




単純な話ではないのですが、刃先厚が同じで砥ぎ角が違う場合は、理論上、砥ぎ角が鋭い方が切れ味が良いと感じます。

皮むきの場合は硬いものの切り分けではないので、片刃特有の切り込み抵抗はほとんど関係なく、片刃の砥ぎ角の鋭さが切れ味に影響します。

図のように、皮むきの条件によっては片刃の方が指が食材に当たりにくい場合があり、作業性が上がります。

※両刃で片刃と同じ角度で皮むきをすると皮が厚くなります



ということで、「左側に切り刃がないこと」「刃の砥ぎ角の鋭さ」「峰と食材の距離の関係」、これらの理由で片刃は薄切りと皮むきに適しています。


余談ですが、皮むき作業は、基本的にまな板を使わない「空間作業」と言え、包丁の重さが作業性に影響します。

同じ片刃でも、和包丁とユニバーサルエッジを比較すると、刃が薄く(包丁が軽い)、重心がハンドル側にあるユニバーサルエッジの方が手首が疲れにくいです。




以上「片刃はなぜ薄切りと皮むきが得意なのか」でした。

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