先日、貝印の「切れ味チャンネル」のコラボ動画を見ました。
登録者数10万人以上の「へんな魚おじさん」というユーチューバーと、貝印の砥ぎマイスター、林泰彦さんがコラボしている動画です。
私は貝印本社ビルに数回訪問したことがあり、切れ味チャンネルが始まったころ、「錆びた包丁を新品に戻す」という動画の撮影現場を見せていただいたことがあります。
出来上がった動画には私も一瞬映りこんでいて、知人たちと盛り上がりました。
そんなご縁があり「切れ味チャンネル」は時々見ているのですが、今回見た動画は私にとってとても嬉しい内容でした。
以下、なにが嬉しかったのかお知らせしたいと思います。
◎「へんな魚おじさん」の理想の包丁
私が見た動画は以下です。
「あなたの包丁砥がせてくださいVol.2 へんな魚おじさん愛用の100均包丁をプロの砥ぎ師が徹底メンテナンス!」
「へんな魚おじさん」は、動画の冒頭部分で「昔は出刃包丁を使っていたが今は100均の包丁です。安い・軽い・錆びない・思いのほか使いやすいから」と、100均の出刃を使うようになった理由を話していました。
100均の包丁は、私も砥ぎの練習や研究のために何本も砥いでいて、特に100均の出刃は、「新品状態でユニバーサルエッジに似ている刃付けの包丁」として、私の中では特別な存在です。
私の100均包丁いろいろ
箱から出してみたら19丁ありました
以下が林さんが砥いだ100均出刃の刀身の断面図です。
刀身の厚さは1.2㎜程度しかありません。
※赤線部分はフラットグラインドと書いていますが、実際はホローグラインドかもしれません
厚さ1㎜程度のステンレスの母材の右側だけに、大量生産するための効率の良い砥ぎ方なのか、幅10㎜ほどの「ホローグラインド」の切り刃を持ち、1㎜程度の片刃の小刃をつけて販売されています。
動画では、ホローグラインドの部分をダイヤモンド砥石でフラットにし、その先に鈍角な小刃をつけるタイプに砥ぎ直すという流れでした。
また、へんな魚おじさんからは、「切れ味が良すぎると骨に引っかかってしまうから、切れ味を少し落としてほしい」という注文も入っていて、おもしろい内容でした。
そして嬉しいことに、動画の8:00~あたりで、へんな魚おじさんが林さんに伝えます・・・
「薄くて、片刃で、折れないような鋼材が砥ぎやすい。そういうのが理想かなと思う。意外とないんだけど、需要はあると思うよ」
へんな魚おじさんが理想とする「薄くて、片刃で、折れないような鋼材」とは、洋包丁の薄い刀身、和包丁の片刃の刃先、そして靭性が高く折れにくいモリブデンバナジウムの組み合わせ、と言うことができます・・・つまり、へんな魚おじさんの理想は、「ユニバーサルエッジ」そのものでした。
参考写真:ユニバーサルエッジ(薄い片刃・左)と和包丁(厚い片刃・右)の厚さの比較
100均の出刃は確かに薄くて片刃なのですが、刀身の丈夫さ・口金・刃渡り・安全性などの理由から、ユニバーサルエッジの方がさらに優れた包丁です。
※100均出刃は右利き用しかありませんが、ユニバーサルエッジは左利き用があることも優れた点です
そして「需要」についても、私の生徒さんやお客様との会話、そしてアンケート結果などから、私もへんな魚おじさんと同感で「需要はある」と思っています。
あるというよりも、既存の万能包丁(三徳包丁・牛刀)に代わる新しい時代の包丁だと思っています。
※需要についての考察や、既存の万能包丁との比較はこちらをご覧ください
「一般家庭の役に立つのは従来の万能包丁かユニバーサルエッジか 100人アンケート」
◎かたけんさんも使ってくださいました
ユニバーサルエッジは、「へんな魚おじさん」が理想とする包丁なので、もちろん魚をさばくことができます。
以前、砥ぎ系ユーチューバーの「かたけんのすけ」さんに、「ユニバーサルエッジで魚をさばいていただけますか?」とお願いしたところ快く了承してくださり、数日後、「普通にさばけますよ」とお返事をいただきました。
※そのときのブログはこちらです
「ユニバーサルエッジで魚をさばけるか」
また、かたけんさんは、港のすぐそばに住んでいらっしゃる関係で、日常的に魚をさばく方ですが、普段は出刃ではなく、三徳包丁を使ってさばいているとのことでした。
私の仕事は主に野菜と鶏もも肉を切ることなので、魚をさばくことはほとんどありませんが、「へんな魚おじさん」と「かたけんさん」のお二人は、現役で魚をさばいている方です。
そのお二人が魚をさばくために洋包丁を使っているのは、「便利だから」に尽きると思います。
ユニバーサルエッジは、主に野菜と肉を切るための理想の包丁として考案したのですが、日常的に魚をさばく方々にとっても理想の包丁だと言えます。
また、SDGs4・9・12の貢献度についてもこれ以上の包丁はありません。
しかし、「へんな魚おじさん」も言っていたように、「意外とない」のが事実です。
このコラボ動画から「ユニバーサルエッジ」の可能性が広がると嬉しいです。
◎本当のことを伝える勇気
登録者数10万を超えるユーチューバーから貝印に対して、「薄くて、片刃で、折れないような鋼材で作った包丁が理想」という言葉が伝えられたことで、「ユニバーサルエッジ」の便利さや、潜在的な可能性を知っている人がいると実感できました。
また、動画内でカットすることなく、文字にしてくれたということは、貝印がユニバーサルエッジに否定的ではないとわかって嬉しかったです。 そしてこの企画は、貝印としては、自社でも販売している「出刃包丁」を否定することにもつながります。
にもかかわらず、砥ぎマイスター自ら100均の包丁を砥ぎ、「100円の包丁でも魚は普通にさばける(むしろ便利)」という事実を伝えました。
100円の包丁を販売していない貝印にとっては、ある意味不利益な行動と言えるのかもしれませんが、「事実を伝える」というスタンスは、本当に素晴らしい取り組みだと思います。
◎まとめ
薄くて片刃で折れにくい包丁の「ユニバーサルエッジ」は、野菜と肉を切るための理想の包丁として作られましたが、日常的に魚をさばく「へんな魚おじさん」にとっても理想の包丁と言えます。
今回紹介した動画は、私にとって本当に嬉しい内容でした。
いつか日本中のご家庭にユニバーサルエッジが届くよう、今後も包丁業界のみなさまに協力をお願いしつつ、私自身も地道な活動を続けたいと思います。
最後にブログ記事「ユニバーサルエッジとは」を紹介します。
「へんな魚おじさん」の言葉に通じる内容もあります。
※ブログ「ユニバーサルエッジとは」に掲載の画像
以上、嬉しかった話でした。
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