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包丁の砥ぎ角の測り方 ―包丁砥ぎ角度測定補助器具―

更新日:2023年6月20日



「包丁研ぎ角度測定補助器具」の実用新案の登録が完了したので報告します。



昨年申請した「包丁研ぎ角度測定補助器具(以下補助器具)」の登録証です。




「包丁なんでも相談室」に寄せられる相談の中で多いのが、包丁の砥ぎ方についてです。

その中でも、砥ぐ角度の測り方と、その角度をどうやって固定するかというお悩みをよく聞きます。

測定と固定のお悩みのうち、今回は「測定」について書きます。

包丁の砥ぎ角については、最終的に「お好みで」ということになるのですが、目安があったほうが安心です。

包丁メーカーの多くは、「家庭用包丁は15度」とオススメしていて、私も、両刃の家庭用包丁の場合は15度前後でよいと思っているので、ここでは「15度」とします。



15度の「測り方」については、一般的に「10円玉3枚・割りばし」などが紹介されていますが、この方法では、10円玉を入れる場所や包丁の幅によって大きくズレてしまうこともあり、「よくわからない」とおっしゃるお客様もいます。 ※私もよくわかりません(汗)



最近は「スマホのアプリを使って角度を測る」という方法もありますが、スマホが大きいことや、包丁の刀身の上にぴったり乗らないこと、砥ぎながら頻繁にチェックすることができないなどのデメリットがあります。


そこで考えたのが、水平器(気泡菅)を使った補助器具です。 15度に傾けた土台に水平器を乗せることで、包丁の角度が15度になったときに気泡が真ん中になります。 マグネットで固定でき、刃の幅にも影響されず、小型軽量なので包丁に乗せたまま使えま

す。

使用後は冷蔵庫につけてメモ留めとしても使えるので、紛失の心配もありません。



補助器具 マグネットで固定











これで、研ぎ角の悩みが解決します。





この補助器具は、「土台・水平器・マグネット」を組み合わせた単純な構造で、1年ほど前から試作を続けてきました。

実験をしながら、包丁関連の企業様やお客様に見ていただき、みなさんから「なるほど~」と感想をいただいたことが、実用新案の申請の後押しになりました。




武生特殊鋼材株式会社社長と営業部長との面談(南伊豆にて)













お客様にも使っていただきました(合羽橋道具祭りにて)













水平器を使った測定方法は、その角度専用のものや、複数測れるものなどのアイデアがあり、レストランの仕事の合間にスタッフと意見を出し合いながら、様々な試作品を作りました。

以下それぞれの試作品です。

※私はCADや3Dプリンタを持っていないため、部品はすべて市販品&手作りです(^^



A:15度と18度の両方を測ることができるタイプ















B:指定した角度から前後5度の範囲で測れるタイプ(少し小型化することが課題)















C:マグネットと水平器の組み合わせで複数の角度が測れるタイプ(写真は2種類・4種類のタイプ・小型化することは簡単です)















D:15度~20度のタイプ(矢印を刃線に対して直角に置くと、その角度になります)















E:クリップ式(冷蔵庫につけてメモ留めとして便利)











F:10度から20度をそれぞれ測れるタイプ(レストランに1セットあると便利です)













G:刀身の利き手側の面につけるタイプ(包丁によっては、より正確に測れます)









H:10度~20度まで自由に測れるタイプ(角度設定は任意で可能)















以上です。


補助器具は小型でとても軽く、企業にとっては砥石や包丁に同梱して販売することができ、他社との差別化ができます。 現在、商品化に興味をもってくださる企業様を探していますので、もうしばらくお待ちください。 また、「すぐに欲しい」という方のために、冒頭のタイプの補助器具を手作りし、「包丁なんでも相談室」で販売したいと思っています。 一般的な15度、そしてユニバーサルエッジの18度の2種類を作りますが、角度を指定していただければ作れますので、ご希望の方は下記までお問い合わせください。 個人的な利用はもちろんですが、料理教室や調理師専門学校で使うことで、生徒さんの不安をなくす小道具としても役に立つと思います。 価格は、オーダーメイドも含め、ひとつ300円~500円で考えています。 kataba.hocho@gmail.com ◎角度の「固定」について

次に、測定した角度の「固定」についてです。 包丁の角度が固定できれば、「刃線が乱れにくい・刃がつきやすい・早く砥げる・包丁が長持ちする」などのメリットがありますが、「トゲール」などで有名な角度固定ホルダーは、刃線が直線になりがちです。

また以下のようなデメリットがあります。 ・包丁に傷がつく ・取り外しがこわい ・使い方がわかりにくい ・ペティナイフや和包丁に使えない ・紛失しやすい ・切っ先の砥ぎ方がわからない ・本体か砥石のどちらかが減る 参考:私が角度固定ホルダーを使わない理由 https://www.katabayui.com/post/kotei ※「セラミック包丁も砥げる」と書いてある電着ダイヤモンド砥石に、セラミック部品を使った固定ホルダーが同梱されているものは矛盾しているように思います。



これらのデメリットに対しては、いまだに根本的な解決策がありません。


角度の固定についても、上記の項目を「解決・改善」できる方法があるので、現在実用新案の申請準備中です。 研ぎについてのアイデアは他にもたくさんあり、ゆっくりですが、みなさまにお届けする準備をしています。

お楽しみに。



以上、実用新案登録完了のお知らせでした。

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