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「小刃・糸刃」が不用な理由 ―金属の進化と食材の軟化―

更新日:2月19日



「小刃・糸刃がいらない理由を教えてください」という質問をいただきました。


以前このブログで「ユニバーサルエッジには小刃・糸刃(小さな2段めの刃)は無用です」と書いたことがあり、今回はその理由について少し詳しく書きます。

※あくまでも「ユニバーサルエッジに小刃・糸刃が無用な理由」です



◎「小刃・糸刃」とは

「小刃・糸刃」とはなにかということですが、「刃先を丈夫にするために、刃先につける小さく鈍角な刃」と表現してよいと思います。 昔の包丁は刃欠けしやすかったため、刃先を欠けにくくするための「鈍角な刃」が必要でした。 小刃の方が糸刃より大きな刃ですが、その角度や幅など、「数値」についての定義は厳密ではないようです。 厳密な定義がない理由は、主に「数学などの教育が発展していなかった時代の言葉だったため、数値化できなかったから」というのがひとつ、そしてもうひとつは「金属や切る食材、個人の好みなどによる組み合わせが無数にあり、厳密に定義できなかったから」という2点だと思います。

※アウトドアナイフの世界では、小刃のことをセカンドベベル、糸刃のことをマイクロベベルと呼んでいると解釈してよいかと思います。



◎数値で表現すると 小刃・糸刃をあえて私なりに数値化すると、メインの切り刃の幅の10%前後の幅が小刃、さらに小刃の幅の10%前後の幅が糸刃、研ぎ角は、メインの切り刃の角度の2倍、つまり、20度で研いだ切り刃には、40度の小刃か糸刃がつくと考えてよいのではないかと思います。




◎図解

角度のイメージを図にしてみました。

左が小刃・糸刃なし、右が研ぎ角の2倍の小刃・糸刃をつけた片刃包丁です。





◎昔の包丁が刃欠けしやすかった理由


主に「金属がもろい・食材が硬い」というのが理由です。 たとえば100年前の刃物用金属が現代の金属よりもろかったのは、「技術」の問題です。 昔は現在のような高性能の刃物用金属は作れませんでした。

作れたとしても、偶然の産物で再現性がなかったり、超高級品だったので家庭用には使えませんでした。 食材の硬さについては、動物や魚の「骨」を切ることが多かったことと、露地栽培の野菜に付着している土(砂)が多かったこと、電子レンジがなく、カボチャやサツマイモなどの硬い野菜をそのまま切っていたことなどが原因です。


◎ユニバーサルエッジに小刃・糸刃が不用な理由


キーワードは、金属の進化と食材の軟化です。

ユニバーサルエッジは研ぎ角18度前後の片刃ですが、この角度の場合、一般的には「小刃・糸刃」があった方がよいと言われます。

しかし現代は、「金属の進化」によって刃欠けしにくい包丁が作れるようになりました。

それに加えて、魚の骨や、土がついたままの野菜などを切ることが少なくなったこと、さらに、電子レンジで柔らかくしてから切るなどの工夫で、刃欠けが少なくなりました。

「金属の進化と食材の軟化」の相乗効果によって「小刃・糸刃」は不用になりました。



◎小刃・糸刃がないことのメリット


体感できるのは「砥ぎやすさ」です。

場合によっては切り込み抵抗も低減します。

研ぎ角が鋭くなるので、理論上「切れ味が良くなること」もメリットです。





今回は以上です。

まとめると、ユニバーサルエッジは靭性の高い金属を使っているので刃欠けしにくく、刃欠けを防ぐための「小刃・糸刃」は不用、ということになります。


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