3年ほど前、家庭用万能包丁について「100人アンケート」を実施したことがあります。
目的は一般家庭ではどのような野菜をどのように切るか調べ、ユニバーサルエッジのニーズを知るためです。
今回は当時のアンケートに加筆や映像などを加えたものをこのブログに掲載しておきたいと思います。
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一般家庭の役に立つのは、「従来型(両刃)」か「新型(ユニバーサルエッジ=片刃)」か調べるために、100人にアンケートをとりました。
100人という少ない母数と、専門家ではない私が作ったアンケート内容のため、本質が的確にとらえられているのか至らない点があるかもしれませんが、目安として実施してみました。
【100人アンケート】
アンケート期間:2021年7月30日~2021年9月中旬
対象:ご来店のお客様 (地元~観光の方・男女問わず20代~70代の方)
方法:アンケート用紙を配り記入していただく
●質問1:普段どんな野菜を切りますか?(複数回答可)
「大根」「人参」「トマト」「きゅうり」「玉ねぎ」「キャベツ」「レタス」「じゃがいも」「かぼちゃ・さつまいも」「ネギ・万能ねぎ」「ほうれん草・小松菜など」「しょうが」「ナス」「ピーマン」「ブロッコリー」の中から、よく切る野菜上位7つを選んでいただきました。
※私自身がよくお店で見かけて切る食材を選んでいます
【結果】
1位:玉ねぎ 87%
2位:キャベツ 72%
3位:ネギ・万能ねぎ 71%
4位:きゅうり 70%
5位タイ:大根・人参 67%
普段「玉ねぎ」を切る人が多い、ということがわかりました。
●質問2:どんな切り方をしていますか?(複数回答可)
上記の質問で上位だった食材をどのように切るか選んでいただきました。
【結果】
1位:玉ねぎのみじん切り 63%
2位:きゅうりの輪切り 61%
3位:キャベツの千切り 59%
4位:玉ねぎの薄切り 52%
5位:長ねぎ・万能ねぎの小口切りや輪切り 50%(推定)
6位:大根・人参の千切り 40%(推定)
100人の中で、玉ねぎのみじん切りをする人が多いとわかりました。
キャベツの千切り以外は「刃離れ」がポイントになる切り方です。
●質問3:「両刃の切れ方」「片刃(ユニバーサルエッジ)の切れ方 」どちらの切れ方が好みですか?
< キュウリの輪切り(薄切り)>
両刃の切れ方 片刃の切れ方
<玉ねぎの薄切り>
両刃の切れ方 片刃の切れ方
<ねぎの小口切り>
両刃の切れ方 片刃の切れ方
<ニンジンの薄切り(輪切り)>
両刃の切れ方 片刃の切れ方
【結果】
「両刃の切れ方」 0%
「片刃の切れ方」 100%
家庭で切られている代表的な野菜を両刃と片刃で薄切りし、どちらの切れ方が好みか質問しました。
100人にアンケートを取る予定でしたが、23人に尋ねた時点でみなさんが悩むことなく「片刃の切れ方」を選んだことをふまえ、100%の人が「片刃の切れ方」を望んでいるという結論としました。
ここまでの3つの質問をまとめると、一般家庭では玉ねぎのみじん切り、薄切り、千切りがしやすい包丁、そして薄切りの刃離れの良い包丁、つまり以下の映像のように切れる包丁の需要が大きいとわかります。
玉ねぎのみじん切り
まとまり良く切れます

みじん切り 両刃との比較
薄切りの刃離れ
キュウリの輪切りの比較
そして1~3のアンケート結果を満たす包丁は「ユニバーサルエッジ」です。
「ユニバーサルエッジ」は「従来の万能包丁」より一般家庭の役に立つことがわかりました。
さらに、もうひとつ以下の質問をしました。
●質問4:家庭用包丁に「切れ味」以外で求めるものはなんですか?(複数回答可)
「切れ味」については誰もが求めることなので質問しませんでした。
どの包丁も新品状態で切れ味が良いという前提で、それ以外に求めるものを質問しました。
【結果】
1位:汎用性 57%
2位:メンテナンス性 54%
3位:コストパフォーマンス 52%
4位:デザイン 22%
5位:メーカー 2%
アンケート結果から、家庭用包丁に求められていることは、「汎用性・メンテナンス性・コスパ」だとわかりました。続いて「デザイン」が求められ、「メーカー(ブランド)」はほとんど関係ないという結果です。
その他の少数意見として、「ハンドルの握りやすさ」「軽さ」を求めている方もいらっしゃいました。
プロの世界では包丁の重さを利用する切り方もありますが、一般家庭では「重い方が良い」という意見はありませんでした。
「汎用性・メンテナンス性・コスパ」の3つについては、ユニバーサルエッジはどれも従来の万能包丁よりも優れています。
以下に詳細です。
★汎用性の高さ
私が考案するユニバーサルエッジは、刃渡り190㎜前後で、重さ150g前後です。
そのため、三徳包丁、スライサー(筋引き)、柳刃包丁、薄刃包丁、ホネスキ・ガラスキ、フレキシブルナイフ、パン切り包丁の特徴を備えています。
また、卓上には向いていませんが、重心がハンドル寄りで軽めの包丁なので、慣れればペティナイフのように気軽に使うことができます。
1:三徳包丁
アゴから切っ先にかけて三徳包丁と同じ刃線を持つため、シェフナイフの刀身の中に三徳包丁の刀身の形が含まれます。
「三徳包丁が含まれている形」なので、三徳包丁でできることはユニバーサルエッジでもできます。
2:スライサー(両刃)
砥ぎ角が鋭い片刃のため、190㎜の刃渡りでも、200㎜以上のスライサーと同じような切れ味を発揮できます。
3:柳刃包丁(片刃)
たとえば家庭用として一般的な210㎜前後の刃渡りの柳刃包丁でも、長い刃渡りを活かしきれていない人はたくさんいます。
190㎜の刃渡りがあれば、アゴから切っ先まで意識して使うことで柳刃包丁と同じような断面のツヤを出すことができます。
4:薄刃包丁
アゴ側の100㎜程度の刃線がほとんど直線で片刃なので、アゴ側100㎜程度の部分で「かつら剥き」や「刻み」の作業ができます。
5:ホネスキ・ガラスキ(ここでは先端が細い片刃包丁と定義して書きます)
家庭でホネスキ・ガラスキを使うことはほとんどありませんが、あえて使おうとした場合、片刃のシェフナイフは、先端が細い片刃の刀身なので対応できます。
刃の厚みはホネスキ・ガラスキほどありませんが、靭性の高いステンレス製なので、ハガネの包丁よりも刃欠けしにくいです。
6:フレキシブルナイフ
ユニバーサルエッジは、切っ先側の刃厚が薄く仕上げてあるため刀身がしなり、従来の万能包丁と比較して、「フレキシブルナイフ」に近い切り方ができます。
※刀身がしなりやすいため、画期的な砥ぎ方の「シームレス砥ぎ」ができ、「硬い食材をまっすぐに切れない」という片刃の弱点も緩和しています
7:パン切り包丁(焼きたてを除く)
刃渡りが長めなので、パン切り包丁としても使えます。切るパンの種類によっては、パン切り包丁よりもパンくずが出にくく、かつ滑らかな断面になります。
大切なポイント1:
「片刃は両刃として使えますが、両刃は片刃として使えない」というものがあります。
両刃の得意分野である「硬い物をまっすぐに切る作業」は、慣れればユニバーサルエッジ(片刃)でもできます。
しかしユニバーサルエッジの得意分野である「薄切りの刃離れ」は、どんなに熟練した人でも、両刃ではできません。
大切なポイント2:
軟らかい食材では感じませんが、硬いものを切るときの「切れ味」については、ユニバーサルエッジは従来の万能包丁より悪く感じます。
理由は、片刃による切り込み抵抗が強いからです(ただし和包丁よりは使いやすいです)。
切り込み抵抗が強い順に書くと、「和包丁→ユニバーサルエッジ→従来の万能包丁」となり、硬いものを切る作業は他の作業と比較して唯一「不得意」と言える項目ですが、家庭レベルでは問題ないと言える範囲です。
以下はユニバーサルエッジで玉ねぎを半分に切る作業ですが、家庭では問題ないレベルです。
★メンテナス性の良さ
ユニバーサルエッジの薄い刃によって可能になる「シームレス砥ぎ」は、慣れれば1回1分以内で作業が終わり、刃線が乱れない砥ぎ方です。
ユニバーサルエッジは片側だけ砥げば作業の9割が終わり、研ぎ時間が短縮できます。
これは従来型の万能包丁でも共通ですが、刀身がステンレスなので、ハガネのように錆に対しての気遣いもなく、鉄のニオイなどがありません。
洗った後に軽く水分を拭き取るだけで包丁のコンディションを維持できます。
ステンレスの刃は、ハガネと比べて刃こぼれしにくく、大きな研ぎ直しが不要で、この点でもメンテナンス性に優れています。
★コストパフォーマンスの良さ
・片刃は砥ぐ量が少ないため両刃より長持ちします。
図:両刃は赤線まで砥いだ後に青線も砥ぎますが、片刃は赤線までです

・汎用性が高いので、1本だけでほとんどの作業ができ、他の包丁を買う必要がありません。
・ステンレス製の刀身により、メンテナンスの手間がほとんどありません。
砥ぎは1回1分以内のシームレス砥ぎ、洗浄は中性洗剤で5~10秒洗い放置するだけです。
・野菜の薄切りが得意なのでスライサーを買う必要がなく、保管場所も節約できます。
・各部の面取りにより高い安全性を実現し、ケガや痛みのリスクだけでなく、包丁を洗う スポンジや拭き取りのタオルの消耗も軽減します。
上記の理由から、ユニバーサルエッジは家庭用万能包丁の中で最高のコストパフォーマンスを実現しています。
<一般の方が野菜を切るときの5つのお悩み>
以下はアンケートの結果ではありませんが、多くの人と話した経験から感じている「野菜を切るときの5つの悩み」です。
1位:玉ねぎを切ると涙が出る
2位:切った野菜が包丁にくっつく
3位:食材を薄く切れない
4位:キャベツの千切りが細く切れない
5位:切ったキュウリが転がる
左側面に刃がついていないユニバーサルエッジなら安定して薄切りができるので、刃離れの悩みと同時に「薄く切れない」という悩みも解決でき、薄切り専用の道具「スライサー」も無用になるため、スライサーによる指先のケガも防げます。
野菜を切るときのお悩みからも、「ユニバーサルエッジ」は「従来の万能包丁」より一般家庭の役に立つことがわかります。
●結論 ~1000万世帯の役に立つ包丁~
アンケートの結果、従来型よりもユニバーサルエッジの方が一般家庭では役に立つということになりました。
日本の世帯数は5000万あると言われています。
仮に、そのうちの2割が日常的に包丁を使っているとすると、1000万世帯が上記アンケート結果のような切り方をしていると考えられます。
家庭で行われる作業の上位、「玉ねぎのみじん切り・玉ねぎの薄切り・キャベツの千切り・きゅうりの輪切り・ねぎの小口切り」などは、全てユニバーサルエッジの方が得意な分野なので、ユニバーサルエッジは「1000万世帯の役に立つ包丁」と言えます。
もちろん従来の万能包丁の方が得意な分野もあります。
たとえば、大根、人参、じゃがいもなどの「硬い野菜」の切り分けは従来の万能包丁の方が得意です。
しかしこれらの作業は、アンケート結果としては上位ではなく、また、ユニバーサルエッジでも「慣れ」で対応できる作業です。
一方、「玉ねぎのみじん切り・玉ねぎの薄切り・キャベツの千切り・きゅうりの輪切り・ねぎの小口切り」などに必要な刃離れ効果は、従来の万能包丁では不可能です。
たとえ料理歴30年のベテランでも、従来の万能包丁で薄切りの刃離れを実現することはできないので、道具としての総合性能は、ユニバーサルエッジの方が優れていると言えます。
余談:
事務職員だった20代半ばの私自身が、客席40のレストランで修行を始めた当日からユニバーサルエッジ(※)を使い、これまでにユニバーサルエッジだけで10万食を作ってきたことが、その便利さを証明していると思います。
※当時ユニバーサルエッジという言葉はなく「片刃のシェフナイフ」と呼んでいました
性能の比較の参考として以下の表にまとめました。
比較表
片刃=ユニバーサルエッジ(実用新案登録第3227805号の刃付け)
以上、100人アンケートの結果でした。