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両刃でもOK 超こまかいトマトのくし形切り

更新日:2023年5月25日


今回は、私が普段トマトのくし形切りをする際に意識していることを紹介します。



はじめに、トマトのくし形切り8等分の動画です。

これはYouTube「美しく切る。」のために丁寧に切ったものです。



よく砥いだ包丁で、圧力をかけずに切ることがコツです。

上達すると16等分にしても形が崩れません。



私は以下のことに気を付けて切っています。

タイトル通り、実践していることが超細かいので、はじめは気になるところだけ挑戦してみるのも楽しいと思います。


<美しいトマトのくし形切り(8等分)>


美しく切るためには、包丁はよく砥いでおくことと、切り終わりでトマトの皮がめくれないように、包丁の刃先で、トマトの皮とまな板の接点を切るように意識することが大切です。

トマトのくし形切りは、両刃の家庭用包丁でも動画と同じように切ることができます。



●ヘタを手で取る


ヘタ(がく片)は、手で取れる部分を予め取り除いておきます(動画ではすでにヘタを取ってあります)。

予め取り除くことで、ヘタを下にして切った時に、切り離されたヘタの一部がまな板の上に残るのを防ぎます。

ヘタが残ると、食べる人の口に入ってしまう可能性があります。




●ヘタを下にして置く(0:00~)


ヘタ部分を下にして置くことが大切です。

ヘタを上にして置けばヘタが切り離されないように切る工夫はできます。

しかし、ヘタ部分は硬いため、ヘタを上にして切ろうとすると、その圧力でまな板に触れているトマトの先端が潰れ、柔らかくなります。

先端が潰れると、くし形に切るときに先端部分の皮が剥がれやすくなるため、ヘタを上にして置かないようにします。




●先端の硬い部分(黒い部分)を避けて切る(0:02~)


大小の差はありますが、トマトの先端には黒くて硬い部分があります。

その硬い部分のすぐ右側を切るようにします。

硬い部分を切ると圧力をかけてしまうため、トマトの先端が潰れてしまいます。

硬い部分を避けて切ることで、先端が潰れることを防ぎ、硬い部分を含むくし形切りを1つだけにすることができます(硬い部分を取り除く作業も簡単にできます)。

硬い部分を含まない方が食感が良くなります。




●半分に切ったトマトの皮を下にして置く(0:09~)

ここからの作業は常に皮を下にして行います。

皮を下にするメリットは3つあります。


ひとつは、トマトの断面の表情(隔壁の場所)を見やすくなり、隔壁(部屋)の中にゼリー状の部分を入れやすくなるからです。

ゼリー部分を部屋の中に入れないと、トマトの形が崩れてしまいます。


2つめは衛生面です。

断面側を下にすると、まな板に全部の面が触れてしまいます。

まな板のニオイや雑菌の付着の度合いが多くなり不衛生です。


3つめは種の流出を防ぐためです。

種が下を向いた状態だと、毛細管現象・吸水による吸着(主に木のまな板)・重力などの関係で、まな板に接した種がそのまままな板に残ってしまう可能性が高くなります。

種が抜けてしまったトマトは美しくありません。




●種が部屋(隔壁)の中に入るように切る部分を見定める(0:10~)


半分に切ったトマトの断面が上なので、トマトの中心の隔壁の場所を見極めることができます。

切った時、隔壁の中に種が残るように位置決めをします。




●ヘタに包丁のアゴ付近をつけて引きながら切る(0:11~)


切っ先を上げてヘタの部分にアゴ付近を乗せ、引きながらトマトの先端部分の皮を切ります。

これによってトマトの皮が身の方へ引っ張られるため、皮の剝がれを防ぐことができます。




●ヘタを切り取る(0:18~)

ここでまだ取り除いていない「ヘタの硬い部分」を取り除きます。

切り終わりの部分をまな板に触れさせることで、皮のめくれを防ぎます。

一面で取り除くことでキレイに仕上がります。

※トマトのヘタを包丁の切っ先でくりぬく方法は、危険かつ美しくありませんし、ペティナイフも必要になり手間がかかります




●皮を下にして置く(0:24) ここでトマトは4等分になっています。

皮を下にして置きます。




●種が部屋(隔壁)に入るように切る部分を見定める(0:25~)


隔壁や種が見えているので、種が部屋の中に入るように切る場所を見極めます。



●トマトの点の部分に軽く包丁のアゴ付近を乗せる(0:26~)


包丁を左右にブラさないため、トマトの点の部分に包丁のアゴ付近を乗せます。

線の部分に乗せてしまうと、直線部分のラインが崩れてしまうため、点に乗せることが大切です。

注意点は、包丁を引きすぎて切っ先がトマトの中まで入らないようにすることです。

次の行程で、包丁を押すことになるので、内側からトマトの皮を突き破るリスクを減らすためです。



●引きながら先端部分を切る(0:27~)


引きながらトマト先端部分の皮を切ります。

表面から5ミリ以上切ったところで次の行程に入ります。



●押しながらヘタ側の部分を切る(0:28~)


ヘタ側の皮のめくれを防ぐため、押しながらヘタ側を切ります。

お尻の部分の皮は先端部分の皮よりデリケートではないので、この行程は省いても大丈夫です。

※とても柔らかいトマトを切れ味の悪い包丁で切るときは有効です。



●皮の向きに合わせて、低圧で切る(皮のめくれを防ぐため)


皮を切った後は、トマトの大きさや硬さに合わせて1~2往復で切りますが、最後の部分は低圧で念入りに切ります。

切離れを確実にし、皮のめくれを防ぐためです。

切り離れが微妙な場合、持ち上げたときに手でちぎるように引き裂いてしまうことがあり、そのときに皮がめくれてしまいます。



これで8等分のうちの2つが完成します。

その後は同じ作業のくり返しです。

8等分したトマトをさらに半分にする練習をすると、包丁の動かし方が上達します。

また10等分や12等分にする場合、包丁の角度を直角にしたいので、トマトを傾ける必要があります。

10等分の場合は、半分に切ったトマトを18度傾けて切り、一方を2等分、もう一方を3等分にします。

トマトを傾けるときは左側を持ち上げる方が切りやすいです。

12等分の場合は、半分に切ったトマトをまず半分に切り、30度傾けて切ることができれば、あとは単純に半分に切るだけです。

包丁を傾けて切ると、包丁がまな板とトマトの皮の間に抜けてしまうため、トマトの皮を剥がす力がかかり、皮をめくってしまう可能性が上がります。



では最後に、仕事のスピードで切った動画を紹介して終わります。

毎日切っているとそれが当たり前になるのですが、初めのうちは練習が必要です。

美しいトマトのくし形切りに挑戦したい人は練習してみてください。

等分数が増えるほど、そして柔らかいトマトを切るほど差が出ます。




仕込みのスピードになるとこんな感じです。






以上、超細かいトマトのくし形切りでした。




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