「飛び散らないキュウリの斜め切りを教えてください」という質問をいただきました。
ユニバーサルエッジはキュウリが飛び散らない刃付け(片刃)の包丁なので、「両刃」の包丁を使う前提で回答します。
※大前提として「薄く」切れば飛び散る度合いは減ります。今回紹介する動画は、基本的に薄く切っているため飛び散る度合いが少ないです。
飛び散らない切り方には3種類の方法があります。
以下に紹介する1が最も簡単ですが飛び散りやすく、3が最も難しいですが飛び散りにくい方法です。
「飛び散らないようにする」というのは、基本的に「切ったものが転がらないようにする」ということになります。
キュウリが転がる理由は「断面の形が円だから」なので、断面の形を「楕円」にすれば、切ったキュウリは転がりません。
また、切ったものをすぐに刃離れさせることでも転がらなくなり、これらの条件を満たすには以下の方法が考えられます。
1:真上から見て斜めに切る(楕円効果)
2:真横から見て少し斜めに切る(楕円+重力効果)
3:真横から見てさらに斜めに切る(刃離れ効果)
1:真上から見て斜めに切る(楕円効果)
ホームポジションに対してキュウリを斜めにおいて、そのまま基本のフォームで切る方法です。
この場合、切ったキュウリが刀身にくっついたまま次のキュウリを切ることになり、次から次にキュウリを押し出す現象のくり返しになります。
刀身が垂直のため、押し上げられた一番上のキュウリは、下のキュウリに乗って階段を降りるように転がってしまいます。(以下写真のようにコインでコインを押し出すゲームのような感じです)
切ったキュウリが刀身に貼り付く「コインゲーム効果」(イメージ)
しかしキュウリの断面が楕円なら、たとえ転がってもすぐに倒れるので、まな板から落ちにくくなります。
斜めに切ることで断面を楕円にします
上から見て斜めに置き、まな板に対して直角に切ります
2:真横から見て斜めに切る(楕円+重力効果)
傾ける度合いは10度前後(まな板に対して80度)です。
包丁を少し右に傾けて切ります(私の教室では「少し右ロールさせる」と表現します)。
そうすることで、次から次に押し出されたキュウリが峰を超えたところで重力の影響を受けて倒れるように落ちるため、転がりにくくなります。
1の方法より高度ですが、「楕円効果+重力効果(峰を超えて右に落ちる効果)」によって、キュウリが転がる頻度が少なくなります。
包丁を少し傾けて切ることで、刀身に貼りついたまま押し上げられたキュウリがやがて落ち、そのキュウリが楕円なので転がりにくい効果があります
上から見てまな板と平行に置き、まな板に対して80度前後で切ります(この図は上の動画と同じ向きです)
3:真横から見てさらに斜めに切る(刃離れ効果)
包丁を傾ける度合いは約30度です(まな板に対して約60度)。
2の方法よりもさらに包丁を斜めに傾けて切ると、包丁にくっついたキュウリをきっかけにして刃離れ効果が生まれ、直後からきれいに刃離れします。
通常は1枚目が包丁にくっつきますから、2枚目からは刃離れの良い包丁になります。
この刃離れ効果は、楕円効果や重力効果には関係なく、1枚目のキュウリが、刃先厚1~2㎜、砥ぎ角60度の刃先の役割を果たすことで、ユニバーサルエッジのような刃離れ効果を発揮するためです。
包丁を30度傾けたまま安定して薄切りを続けるのは難しいですが、この方法が、「両刃」の包丁でキュウリの斜め切りをするときに最も飛び散らない方法です。
条件が揃うと刀身に貼りつかずに刃離れします
上から見てまな板と平行に置き、まな板に対して60度前後で切ります(この図は上の動画と同じ向きです)
刀身にくっついたキュウリが刃離れ効果を生み出します
◎応用編(2022年8月6日追記)
さらに4番目の方法として、まな板に対して斜めに置いたキュウリを、真横から見ても斜めに切る方法があります。
効率の良さを考えた場合、1と2の組み合わせが現実的だと思います。
◎2と3の境界はあいまい
2と3の切り方の動画を見ると、はっきりとした差はないことが分かるように、重力効果と刃離れ効果の「角度」についての境界はあいまいです。
2は少し傾ける、3は大きく傾ける、という意識でよいと思います。
少し傾けるとコインゲーム効果によって押し上げられたキュウリが重力効果によって包丁から落ちる、大きく傾けると刃離れ効果によって刃離れする、そしてその中間では、条件によって両方の現象が起こるということです。
参考:
※薄く切るほど軽く柔らかくなるため、転がっても途中で倒れやすくなり、飛び散りにくくなります
※ユニバーサルエッジは刃離れが良いので、斜め切りはもちろん、キュウリを円のまま輪切りにしても転がりません
以上、飛び散らないキュウリの斜め切りについて、3種類の方法を紹介しました。
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