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砥ぎの現場で感じること 

  • 7月4日
  • 読了時間: 4分

一般家庭で包丁を使う場合、和包丁と洋包丁のどちらがオススメか、というお話です。

結論はこれまでの歴史が示しているように「洋包丁」なのですが、簡単な考察を書こうと思います。



海に囲まれた南伊豆町で包丁の砥ぎ直しサービスをしていると、昔から使われてきたと思われる和包丁をお預かりする機会が多くあります。

プロは自分で砥ぐので、お預かりする和包丁は一般家庭で使われているものがほとんどだと思われます。

また、普段から使っているものと、長く放置されていたものの2つに分かれます。

普段から使われているものは刀身にサビはほとんどなく、小さな刃欠けや刃線の乱れがあるものがほとんどです。

また、長く放置されていたものは刀身全体にサビがあり、切れ味が落ちたあと、砥ぐのが面倒で放置されていたため、全体がサビてしまったと考えられます。

放置されたものの半数以上は切っ先が欠けている印象を受けます。


いずれにしても、どの和包丁もそれなりに使い込まれ、それぞれの包丁に興味深い歴史や味わいを感じます。



砥ぐのが面倒だったのか長く放置されサビが出てしまった出刃包丁

よく見ると切っ先の欠けがあります


切っ先の欠けの拡大

切っ先の欠け
切っ先の欠け


◎一般家庭で和包丁が使われなくなった理由


「包丁砥ぎます」と宣伝をしたときに「錆びた和包丁を預かる」ということは、その和包丁は使われていなかったということです。

使われなくなった理由は、主に以下だと思われます。


・和包丁を砥げる人がいなくなったから


・砥ぎ代より安く新品の包丁が買えるようになったから


・和包丁より便利な包丁があるから






◎和包丁を使い続ける理由


一般家庭でも和包丁を使っている人がいます。

和包丁より便利な包丁があるにもかかわらず和包丁を使い続ける理由は、「昔から魚を切るときは出刃と柳刃を使っていたから」「魚は和包丁で切ると教えてもらったから」などかもしれません。

もちろん「自宅に和包丁があったから」という理由も考えられます。





◎誤解かもしれない


一般家庭レベルで和包丁と洋包丁を比較したとき、洋包丁は以下の項目の全てで「解決・改善」されています。


「昔から使われているから・和包丁の方が切れ味が良いと聞いたから」という理由で和包丁を使うとしたら、それは誤解かもしれません。


昔から使われてきた理由は、和包丁しかなかったからです。

また、「和包丁は洋包丁より切れ味が良いから」というのは、50年前は確かにそうだったかもしれませんが、現代の洋包丁に使われる刃物用鋼材は高性能です。

また、切れ味は「砥ぎ」に依存するので、和洋に関係なく「砥いだ包丁が切れ味が良い」ということになります。


所有している和包丁に特別な思いがある場合は別として、手持ちの和包丁を使い続けるデメリットを考えると、洋包丁を使った方が本質的と言えます。

また和包丁でもオールステンレスのものならオススメです。

ただし「砥ぎにくさ」はどうしても残るので、最終的に洋包丁が便利という結論は変わらないと思います。



参考までに「口金」の比較です

青丸の和包丁の口金に汚れが溜まりやすいことがわかります


口金については以下を参考に





◎まとめ


和包丁は、「魚文化を中心とした時代」「上質な刃物用鋼材やハンドル素材が貴重だった時代」に発展した刃物です。

現代は食文化や生活様式が代わり、上質な素材も開発され、高性能な包丁が安価で流通しています。

車に例えると、和包丁はその都度修理を繰り返しながら使うクラシックカー、洋包丁は壊れにくい最新のファミリーカーという印象です。

クラシックカーは頻繁なメンテナンスと多くの修理費用が必要になり、メンテナンス中は代車も必要ですが、ファミリーカーはほとんど手をかけなくても快適に乗り続けることができます。


砥ぐことを仕事としていると、和包丁を砥ぐことで利益になるのでありがたいのですが、一般家庭では、何度も高額な砥ぎを依頼するよりも、メンテナンスしやすい洋包丁を長く使う方が、経済的にも環境負荷の面でも合理的だと感じます。

一般家庭で使うことを前提として、和包丁と洋包丁で迷っている場合は、洋包丁をオススメします。

和包丁より高性能な洋包丁が安価で販売されているので、お好みで選んでみてください。


以上です。



 
 

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