top of page

切り方と切れ味の関係 ―和包丁の方が切れ味が良い理由 簡単編―

更新日:2 時間前



<簡単編>


比較するのは、和包丁と洋包丁の切れ味です。

そして和包丁はハガネの薄刃包丁、洋包丁はステンレスの牛刀、つまり薄刃包丁と牛刀と比較して、薄刃包丁の方が切れ味が良いと言われる理由について書きます。



切れ味の目安として、切った食材の「断面のツヤ」があります。

ツヤがあるほど切れ味が良いという判断になります。



薄刃包丁の切れ味が良い一般的な理由は、主に「砥ぎ角が鋭いから」です。

砥ぎ角が鋭いほど、切った食材の断面にツヤが出ます。

極端に言えば、5度と85度で研いだ包丁があった場合、5度で研いだ包丁の方が食材の断面にツヤが出やすいと想像できると思います。


そして「もうひとつの理由」は、「薄刃包丁は刃線が直線的だから」です。


刃線が直線だと、基本的にスライド切り(押し切り・突き切りとも)しか使えません。

スライド切りは断面にツヤが出る切り方なので、「切れ味が良い」と判断されます。



一方、洋包丁は刃線が曲線なので、スライド切りの他にスイング切りも使えますが、切り離れを確保するためにスイング切りを使う傾向があります。

スイング系の切り方にも種類があるのですが、いずれにしてもスイング系の切り方は、スライド切りと比較して断面がザラザラになります。

そのため断面のツヤがなくなり「切れ味が悪い」と判断されます。

切った本人も、スライド切りより切り込み抵抗を感じるので、「切れ味が悪い」と感じます。


4種類の切り方比較




ざっくりまとめると以下のようになります。


直線的な刃線の薄刃包丁はスライド切りしかできないため、切れば必ず断面にツヤが出る。

曲線的な刃線の洋包丁はスライド切りとスイング切りができるため、断面がザラザラのものもできる。

様々な理由から、洋包丁を使う人はスイング系の切り方をする人が多い。

トータル的に見て、洋包丁で切った食材のツヤの平均点が低くなる。

だから薄刃包丁の方が切れ味が良いと言われる。




ということで「和包丁(薄刃包丁)の切れ味が良いもうひとつの理由」をひと言でまとめると

「薄刃包丁は刃線が直線的だから」


となります。



写真は薄刃包丁と洋包丁で、あえてスライド切りとスイング切りの両方で切ったものです。

包丁はどちらも私が砥ぎ、刃先のコンディションは良好な状態で使っています。




1と2は薄刃包丁、3と4は洋包丁で切ったものです。

1と3がスライド切り、2と4がスイング切りです。



実験に使った包丁

(和包丁は錆が目立ちますが、刃先はキレイに砥いであります)



写真でわかるように、和包丁でもスイング切りをすれば断面はザラザラになりますし、洋包丁でもスライド切りをすれば断面にツヤが出ます。


つまり、切り方次第で逆の結果を出すこともできる、ということです。

このことから、切り方の違いによる断面のツヤの違いは、砥ぎ角の鋭さの違いによる断面のツヤの違いよりも影響が大きいことがわかります。

切り方を間違えると薄刃包丁の「鋭い砥ぎ角」という長所が出せないことになりますが、薄刃包丁は通常の使い方ならスライド切りしかできないため、誰が切っても断面が美しくなり「切れ味が良い」と言われるわけです。

逆に言えば、洋包丁でスライド切りを使えば、薄刃包丁と同じツヤが出せるので、汎用性が高く、砥ぎやすく錆びにくい洋包丁の方が万能性が高いということになります。



以上、簡単編でした。

今回は簡単に書いただけなので、ここまで読んでモヤモヤが残る人もいるかもしれません。

次回「詳細編」も読んでいただけたらと思います。


最新記事

すべて表示

包丁の切れ味が良いと料理がおいしくなるんですか?

◎包丁の切れ味とおいしさの関係 「包丁の切れ味が良いと料理がおいしくなるんですか?」という質問をいただきました。 「切れ味が良いとおいしくなる」という宣伝を見た方からの質問でした。 この質問の答えは、ある意味「はい」、ある意味「いいえ」、ある意味「わからない」と言え、それぞれ説明ができます。 包丁の切れ味が良いと料理がおいしくなるかどうかは「捉え方」よって違うので、私の調理の経験や実験データを元に

包丁はどのメーカーがいいですか?

「家庭用万能包丁はどのメーカーがいいですか?」と質問をいただきました。 技術の進歩と情報の共有化によって、包丁の「切れ味」に関する性能は、どのメーカーもほとんど同じになりました。 刃物用鋼材についても、ベースになる鋼材は国内では数社が製造していて、金属自体の特徴もほぼ横並びです。 あとは刀身の断面をどのような形にして、刃先をどう砥ぐかによって切れ味の特性が変わりますが、やはりこのあたりの考え方もほ

bottom of page