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​家庭用でおススメのまな板って?

​私が家庭用のまな板としてオススメしているのは「ポリエチレン(プラスチック)」です。

いろいろな素材のまな板を使った感想や、プラスチックのまな板をオススメする理由をご説明します。

​私が実際に使用しているまな板についてはコチラ

​まな板の素材

1:ポリエチレン

衛生面・耐久性・価格、刃当たりなど、総合点で一番です。衛生面は、アルカリ消毒(キッチンハイターの原液でも消毒可)ができます。保管環境を気にしなくても変形せず、価格も2~3千円と安価です。

シンクの淵と淵に乗せて使っても実用的な強度があります。

私が長く使っているまな板なので、「慣れている」ということも総合点が高かった理由かもしれません。

ポリエチレンのまな板にもいろいろな硬さがあります。私がオススメするのは三洋化成の「KSN-LW」というまな板です。

2:ポリプロピレン

ポリプロピレンは「硬い」です。

刃当りが硬くカツカツとした衝撃と音が気になり、刃に負担がかかる気がします。

10㎜以下の薄いものは、時間が経つと少したわんでしまい、「切る楽しさ」が半減してしまいました。

普段から両面を使うことと、曲がりを防ぐための保管方法を工夫するといいかもしれません。

3:エラストマー

上記「ポリプロピレン」と、下記「特殊エラストマー」の中間の刃当たり感で、私の好みでした。

私が普段使っているポリエチレンに近い感覚です(「エラストマーまな板 素材:ポリエチレン」と書いてあるものもあって、エラストマーなのかポリエチレンなのか、違いがわかりませんでした)。

価格も安く、お勧めです。

私が買った色はベージュですが、私は、食材の色や汚れの状態がわかりやすい「白」が好みです。

三洋化成の「EKW-M」というエラストマーやわらか抗菌まな板の切り心地は一番好みです。

​やわらかいため、シンクの淵から淵にかける使い方はオススメしません。

4:特殊エラストマー

特殊エラストマーは、刃当りはソフトで良い印象ですが「高価」「薄い」です。

また、刃当たりがソフトなため、まな板の上での刃の止まりが私の想像より強く、スライド切りのときに手首が疲れる気がしました。砥ぎたての刃(切れ味最高の状態の刃)が、まな板にしっかりと食い込み、「急ブレーキ」がかかる感覚です。研いでいない包丁だと、ブレーキ感が少ないかもしれません。

この辺りの感覚は個人の好みだと思います。

5:合成ゴム

合成ゴムは、刃当たりは良いですが、普段の使い方だと汚れがつきやすく、見た目の衛生に欠け、「高価」です。

また、「重さ」も気になりました。

この重さは、まな板を頻繁に動かす場面では、ちょっと負担になるかもしれません。刃当たりの感想は、特殊エラストマーとほとんど同じです。

ただ、特殊エラストマーより厚みがあって、かっちりと切れる感じは好印象でした。

乾いた状態だと表面がマットな状態(中砥石のような状態)になり、汚れがつきやすくなります。

食材を包丁の刃で集める時、ポリエチレンと比較して刃の滑りが悪く感じました。

​木のまな板について

●木のまな板とハガネの包丁の相性について

木のまな板には、大きく分けて、硬いものと柔らかいものがあります。

また、単一のものと集成材のものがあります。硬いまな板は、アカシア・オリーブなどでできていて、主に「ステンレスの包丁(洋包丁)・スイング切り」の組み合わせで使います。

洋風なおしゃれ系の写真にある小さなまな板は、硬いまな板が多いです。

柔らかいまな板は、ヒバ・イチョウ・ヒノキ・キリなどでできていて、主に「ハガネの包丁・スライド切り」の組み合わせで使います。

ハガネは、研ぎやすさや切り心地の良さで優れている反面、靭性(ねばり)が低い素材です。

そのため、アカシアやオリーブなどの硬いまな板を使うと「刃欠け」「減り」の頻度が上がってしまいます。

和食の現場(和包丁を使う現場)で柔らかい木のまな板が使われているのは、主に「和包丁のハガネの刃を守るため」です。もちろん「和包丁の時代には木のまな板しかなかった」ということも「和包丁と木のまな板」の組み合わせができた理由です。

たとえば100年前の「和包丁の時代」に特殊エラストマーや合成ゴムがあったら、みんなそれを使ったかもしれません。

●私が家庭用として木のまな板をおススメしていない理由
私は家庭用包丁の研究をしているので、「家庭用としてどうか」という視点から見ると、木のまな板は以下のような理由でオススメしません。

・全体を充分に濡らす必要がある

 濡らすのを忘れると食材の水分が染み込んでしまい、ニオイやカビの原因になります

 

・手入れや保管の手間がかかる

 アルカリ消毒(漂白剤消毒)に弱いため、熱湯消毒という手間がかかります。

 また、よくふいてから日陰干しをする必要や、曲がりを防ぐ保管方法が必要になります。

 

・変形する

 水分を含むため、片方だけ使い続けたり、季節が変わったりすることで、変形する場合があります。

 
・品質が不安定

 天然のものは品質が不安定なので、自分では気に入ったとしても他の人におススメできない場合があります。


・不衛生

 傷からカビが発生しやすいです。

 木が溶けたり柔らかくなってしまうため、強力なアルカリ消毒が不向きです。

 
・ニオイが落ちにくい

 水分を吸うため、魚をさばいたときなどはニオイが落ちにくいです。

 プラスチックなら水分を吸わないためニオイが残りにくく、アルカリ消毒をすれば数分でニオイが落ちます。

 

・不経済

 木のまな板はもともと高価なものですが、プラスチックと比較して寿命が短く、

 たとえ表面の削り直しができるとしても、新品が買える料金が必要だったり、

​ 削り直しに出しているときの代用のまな板が必要になり、不経済です。

 

 ・プラスチックがあるから
 最後にあたり前の話になりますが、私が木のまな板を使わない理由は、

「プラスチックのまな板があるから」というのが一番だと思います。

 ハガネの包丁を使うとしても、ポリエチレンのまな板か、

 厚手の特殊エラストマーのまな板にすると思います。

以下の写真は、お店で使っている「まな板(ポリエチレン)」と「洗い物カゴ(ポリプロピレン)です。

まな板は20年近く、洗い物カゴは、お店のマスターの大学生時代から30年以上使っているものだそうです。

両方とも目立った汚れはないように見えます。

私が料理の勉強のために訪れた7店舗(洋食6店・和食1店)でも、全店でプラスチックのまな板を使っていました。

プロの世界でも、プラスチックのまな板を使う店舗が多いように感じます。

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